「うん」



優くんの言葉を聞いて、あたしは窓側の四人がけのテーブルへと足を進める。


向かい合って座るのが初めてで、まともに優くんの顔を見ることができない。
あたしは慌てて、カバンの中から教科書と参考書を取り出す。



取り出したのは数学。
あたしの苦手な分野。
好きな分野は英語。
英語を直訳するのが好きなの。



「優くん…ここ、わかる?」



こう言って分からない問題を指差しながら優くんに聞いた。
優くんは数学が得意だから。



「わかる?」



もう一度優くんに聞くと、優くんは顔を真っ赤にして「うん…何となく」と呟いた。


緊張しているのかな?なんて心の中で思う。



「教えて?」



「えっとね…これはまずこうするんだ」



優くんがあたしに少しだけ近づき、解き方の説明をしていく。
近い、距離。

優くんの顔が夕陽色に染まり、色っぽくさせる。



理性を失われていく。