夕陽色に染まる誰もいない図書館の中で、キスをしたよね。
恥ずかしくって、嬉しくって、優くんの顔が見られなかった。
誰かに見られているかもしれない、という焦りもあって…。
けど優くんとの初めてのキス、すごい嬉しかったよ。
先輩とは何かが違うキス。
温もりも、愛しさも何もかも違う。
…この日、あたしたちは中間テストの勉強をするために、図書館へ移動した。
もちろん二人で。
緊張しないわけないじゃない。
決まったときから頭の中がパニック状態。
何も感じていないように『うん』と賛成したけれど、こんなの嘘。
授業中、数学の数式が入ってこないくらい、それのことばかり考えていた。
「優くん、ここでやろ?」
そして授業が終わり、あたしたちは図書館へ向かった。
この時間帯に図書館には誰一人いなくて、寂しさに溢れていた。
静かすぎる図書館。
さらに緊張感を与える。