確信があるわけじゃない。
ただの噂話かもしれない。
でも本当だったら?
その時、隣にいた沙紀が彼女たちを追いかけて、引き止めたのだ。
「それってやっぱり本当なの?」
そして事情を聞いていた。
彼女たちが言っていたことは本当のようだ。
相沢さんが友達にそう言っていたと言っていた。泣きながら…。
あたしは最低だと思う。沙紀が彼女たちから聞いた話を教えてくれたあと、小さくガッツポーズをしたの。
嫌な女だよね…。
優くんに会いたくて、あたしは急いで教室に向かう。
光り溢れる教室の中から、茶色く色の抜けた髪の毛の人を捜す。
後ろ姿を見るだけで、どくんと心臓が嬉しそうに弾む。
今日も素敵です。
「おっはー」
「ちょっと聞いたんだけどー、相沢さん振ったんだってぇ?」
沙紀が大きな声で言うものだから、教室にいた生徒たちが静かになり、あたしたちの会話に耳を傾ける。
これで一気に広まるだろう、噂話。
「うん、俺好きじゃなかったから」
優くんは笑顔ではっきりとこう言った。
それを聞いてあたしは嬉しくなる。