「ガキの頃、オレが両親に虐待されても、オレを助けてくれる人なんていなかったよ。

人は人を助けないんだ。

理由は簡単だ。

苦しいのは他人で、自分は少しも苦しくないからだ」




藤城はそう言うと、骨が砕けたオレの指をギュッと強く握りしめた。




オレはその激痛に悲鳴を上げた。




もう止めてくれと、心の中で、泣き叫びながら。




「高木、痛ぇだろ?

気が狂いそうなほど痛ぇだろ?

だけどよ、オレはちっとも痛くねぇんだよ。

これが人が人を助けない理由さ。

自分の苦しみを理解してくれるヤツなんて、この世にはいないんだ」