「……大罪は贄となる人に接触し、その身を、魂を汚す。そして、その身を乗っ取り、少しずつ蝕んでいくのです。人を、世の中を、世界を。具体的には、永盛さんは色欲の罪、保坂さんは強欲の罪の大罪に支配されるのです。」

「色欲と強欲、か……。」

入れ物になるとはいえ、接触のみで魂までもが汚れる。今更感じる恐怖に体が震えた。すると、ヨル以外の声がどこからか聞こえた。

『これ以上の情報提供は不要だヨル。直ちに転送を行うのだ。説明は後日で良い。』

「っ……はっ、承知致しました。」

ヨルは声の持ち主がその場にいるように、深々とお辞儀をし、何やら準備に取りかかった。

「……はは……俺、どうなっちまうんだろうなぁ……。」

更に不安が募り、思わず呟いた。それを聞いたのか、ヨルが優しく肩に手を起き、俺をなだめるように言った。

「恐ろしくて当然です。普通の人生では経験できない恐怖と苦痛を味わうのですから。これから体験する痛みは、貴方の病気よりも辛いでしょう。」

『あれより……辛いのか……。』

あの俺を苦しめた病。あれを超える苦しみが、生き返った後体験するかと思うと身が引ける。

「……やり、ます。覚悟は……あんまり出来てませんけど……あなた方も初めての試みで、分からないことだらけで不安です……でも……やれることはやりたいんです。お願いします。」

寝台へ再び寝かせられ、目を閉じた。意識が少しずつ遠のいていく。俺は2度目の人生を送るのだ。