薄明かりのなか、僕は、彼女の背中に観音の彫り物があるのに気付いた。

一瞬身じろいだが、話をまず聞いてみようと思った。

正直厄介な女なんじゃないか、不安になった。


僕は彼女に彫り物を彫ることになった経緯を聞いた、悪い男に騙されてそれで、風俗に行く羽目になって聞けば多額の借金を背負わされたらしい。


そこからやくざがらみになって今はきっぱりとやくざとは縁が切れてるとのこと。

「過去は過去だ」「もう終わったことだ」僕は彼女に伝えた。


「君はその過去を消したい?」「はい」「今度僕の知り合いの医者に治療してくれるレーザーで彫り物を消してくれる知り合いがいるから行ってみるか?」

「はい」

ある日の朝早く僕と彼女は家を出てある治療院のドアをノックした。


レーザーで刺青を消してくれるという。

「時間かかりますか?」「痛いですか?」不安なのか彼女はどんどん質問する。

「時間は4時間くらいだよ」「大丈夫です痛みはそれほどありません」「少しちくちくするぐらいです」


僕は彼女の手を取ってレーザーの治療の台に横たわせた。


4時間の間じっと手を握ってた。時折痛むのか彼女は顔をゆがませた。


4時間ご手術は終わって、彼女は刺青の後を見せてくれた。

ケロイドに少しなっているけどきれいに消えてた。


「過去はこれで消えたんだ、もう振り向いちゃいけない。」