『お前高校は?』


瀬戸大凱に言われた一言。
高校なんて存在忘れていた。

だいたい、行こうとも思ってなかった。


制服も何もかも家だし、ここに来て着るものは瀬戸大凱が買ってきてくれた。

でも、それは、誠也さんのお金らしい。



食べ物にも困っていない。

2階にあるフードコートで食事する。
そこで料理しているのは誠也さんの家の使用人らしい。


そう────────。

私はここに来て何も苦労してない。



「ねぇ、瀬戸大凱」

パソコンをいじっていた瀬戸大凱に話しかけた。

「お前、それやめろ」

それってどれよ。
私は瀬戸大凱の指しているそれが分からなかった。


「大凱でいい」

瀬戸大凱は私より2つ上の19歳。
ちなみに誠也さんも19歳らしい。


そんな年には見えない。
2人とも大人っぽい。


「じゃあ、大凱」

「なんだよ」


私は少し抵抗を感じたがこの人の言われた通りにやらないと申し訳ない。

なにしろ、私はお世話になってる身だから。


「コンビニ行ってきていい?」

無償に甘いものが食べたくなった。
フードコートに行けばあるんだけど、そうじゃない。


コンビニのスイーツが食べたい。
それにこの事務所に来てからほとんど外に出ていない。

気分転換に外に出たい。

「そんなもん、2回で食えよ」


「コンビニのが食べたいの!」

大凱は眉間にシワを寄せてため息をついた。


「…早く帰ってこいよ」

「うん」


なんとか許可が出た。

これで外に出れる!
お金は大凱から貰った。


「じゃあ、行ってくるね」

そう一言を残して螺旋階段を降りていった。


ふと思った。

あの日以来、誠也さんを見てない。
同じ建物に居るはずなのに全と言っていいほど会わない。


大凱曰く、誠也さんは忙しいらしい。

でも、あんな事があったから会わないのもいいのかもしれない。
会ったって気まずいだけだよ。






螺旋階段を降りていると声が聞こえた。
誰の声だかは分からない。


微かに聞こえる声。

それは甘ったるい
女の声だった────────。


そっと1階を覗くと、そこには声の主であろう女がいた。
茶髪のロング。

スタイルが凄く良くて、タイトのミニスカートがよく似合っていた。


女の私が見ても凄く綺麗な人だと思った。


首を伸ばすように更に覗くと男がいた。




真紅の髪の男。

────────誠也さんだ。