沈黙が私と瀬戸大凱の間に流れていた。



何を話したらいいのか。
瀬戸大凱に聞きたい事はいっぱいある。

「ねぇ」


「…んだよ」

なんでそんなに怒ってるのよ。
私、なんかした?


「ここはどこなの」

初歩的な質問だけど、それが1番気になっていた。
何気なくここにいて、何気なくあんなことしたけど。


「夜華の事務所みたいなもんだ」

事務所?
そんなのがあるんだ。

確かにここは何でもあって、建物の中心には大きな螺旋階段があった。


建物は全部コンクリートで作られていて、とても事務所のようには見えない。


「何があるの、この事務所には」

瀬戸大凱は一瞬ウザそうな顔をし、ため息をついて答えてくれた。


「1階は駐車場、2階はカフェやらレストランやらが揃ってる。3階が俺とお前が住むであろう部屋だ。4階と5階は誠也の部屋だから近寄るな」


この事務所そんなに凄いの。
そんなふうにする意味あった?

部屋2、3個で十分でしょ。


「ここは全部誠也の家のもんだ」


誠也さんの?
…お坊ちゃんか。



「あいつんちは大金持ちだ」

金もあって、絶大な力もあるってなによ。



その他にも、たくさんの事を聞いた。
夜華とは、大まかにはヤクザ。

この事務所には夜華の奴らがたくさん出入りする。

そんな話を聞いても自分の家に帰ろうとは思わなかった。
あんな家こりごりだ。