雨が降る金曜日。


あぁなんて日。
明日は学校が休みなのにこんな目にあうなんて。

「てめぇ、聞いてんのかよ!!」

聞こえてるよ。
うるさいくらい。


-1時間前

「あんたのせいで…!」

それ聞き飽きたよ。
母親はいつもそう言う。


父親を殺したのは私だと。


「あんたなんか…死ねばいい」


そう言った母親の目は虚ろだった。
手に握られたのは包丁。


「っ」

私の横腹からは真っ赤な血液が流れていた。



「きゃぁぁぁぁ!!」

自分で刺しといて。
無責任。


そして母親はいつの間にか警察に電話をかけていた。
冗談じゃないよ。

携帯なんかが来たら面倒なことになる。


そう思った私は家を出た。

腹の痛さを我慢しながらただ歩いた。




繁華街に入ると賑やかな声と鮮やかな色で埋め尽くされていた。

その時。
誰かにぶつかってしまった。


意識朦朧な私はぶつかってしまった人に構う余裕はない。


「おい!」

「…すいませんでした」



とりあえず謝ろう。
消え入りそうな声でそう呟いた。

「あぁ?聞こえねーな!」



聞こえてるくせに。


そう思った瞬間。
腹に激痛が走った。


そして私はその場にしゃがみこんだ。


「この女、死ぬんじゃね?」

そう嘲笑うように話してる声ですらも微かに聞こえるくらい。



「この女で遊ぶか」


その言葉を最後に私は意識を手放した。