「また今度に一緒に帰ろうな」



そう言って笑う結斗。



なんて残酷な言葉だろうか。



私に期待だけ持たせて、どうせ一緒になんて帰れやしないのに。





私はうん、と頷きそれを確認した結斗は私に背を向けて美里ちゃんと行ってしまった。





なんだか教室にいるのが気まずい。



何人かはきっとこの始終が聞こえているはず。



好奇心への視線が今では哀れみの視線だ。




皆んなには私はどう映っているのだろう。



可哀想、とか思われてたらやだなあ。




自然とまたため息を溢す。




すると目の前に親友とも言える友達、千尋が立っていた。



「なーに、ため息なんか吐いてんの」




「千尋…」




そして千尋は私が結斗に片思いをしていた時に色々とりもってくれた子でもある。





「結斗君、ぶん殴っていい?」




いきなり現れたと思えば恐ろしいことを言う千尋。



きっと彼女はどこかでさっきのを見ていたのだろう。



恥ずかしいところみられちゃったな。



「いいよ千尋、大丈夫!」





なるべく笑顔で明るく返す。





「うーん、でも殴りたい」







多分千尋は私のことだけで結斗を殴りたいだけでは無さそうだ。




八つ当たりか。




「千尋、今日なんかあったの?」




イライラしている千尋にさりげなく聞いてみる。



すると私が聞いてくるのを待っていたかのように目を輝かせた。





わかりやすいな、おい。