結斗は男子の声に反応して私からスーッと視線を逸らし「美里…?」とだけ呟いて教室の入り口の方へ向かってしまった。




また、か。





なんだか慣れきってしまったこの感じに自然とため息を溢す。




私はドア付近にいる結斗ともう一人。



結斗の幼なじみの女の子、美里ちゃんを眺めた。




結斗と美里ちゃんは美男美女という言葉が合っていて、そんな二人のすがたをクラスの何人かも私と同じように眺めていた。




「結斗…私一人で帰るの怖い。」



美里ちゃんの声が聞こえてくる。



結斗がいうには美里ちゃんは可愛いだけあってストーカーに遭っていて、それに可愛いからか僻んでくる奴らもいるらしく、頼れるのは今までずっと一緒にいた結斗だけ、らしい。




そんな理由があるのならば納得するしかない。



結斗に泣きながら駄々をこねて抱きつく美里ちゃんをボーッと眺める。




しょうがない、しょうがない。



だけど目の前で彼氏が他の子に抱きつかれているのは当然悔しい訳で、



下唇を噛み締めた。




その間も会話は進み、一息ついたのか結斗がこちらに向かってくる。




「ごめん雪、美里があんな感じだから今日は一緒に帰れない本当にごめん」




今日“は”…?


今日だけじゃないじゃんいつもじゃん。




私はどうでもいいの?



そんなこと思っちゃ駄目だって分かってはいるんだけど。



結斗はいつまで幼なじみを優先するのだろうか。






「私は大丈夫だよ、バイバイ!」





だけど私はいつだって明るい声でそう言う。




私いい子ぶって馬鹿みたい。

















嗚呼、結斗はいつ私の今の状況に気づいているだろうか。