「三笠くん、ちょっといいかしら」
俺の机のほうへやって来て、彼女は俺に声をかけた。
「はい」
「この資料なんだけど、2ページ目の10行目と5ページ目の17行目に誤字があったから訂正しておいてくれる?」
「わかりました」
「よろしくね」
香水だろうか。
花の香りがする。
薔薇のような、彼女にぴったりの女性らしい香りだ。
きつくもなくほのかに香る薔薇の香りは、俺の心を刺激する。
今まで会った女性の中で、彼女がダントツで綺麗だと思う。
そんな人が俺の上司で、しかも教育係だなんてラッキーだ。
「お前本当羨ましいわ」
隣のデスクに座る、俺と同期の飯沼千隼(いいぬまちはや)が俺に話しかけてくる。
飯沼はサッカー部にいそうな爽やかな風貌をしており、未だに大学生のときのノリが抜けていないように思える。
髪はダークブラウンで、毎日ワックスできめているようだ。
俺が初対面のときはチャラい印象を受けた。
「藤堂さんが教育係なんて、みんな羨ましがってるぞ」
「飯沼の教育係は、恐いって有名な亘(わたり)さんだもんな」
俺は聞かれないように小さめの声で返事をする。
亘さんとはこの部署で一番怖いと言われていて、入社8年目、いつも怖い顔をしながらパソコンと向き合っている。
飯沼は頻繁に怒られ、怒声が部署内に響き渡ることも多い。
「まじでそれな。この間書類で一文字変換ミスしてただけで一時間怒られたわ」
「うわ怖っ…」
「俺もあんな怖い、しかも男の教育係じゃなくて藤堂さんみたいな綺麗で優しい人が良かったわ~」
飯沼はふうと溜め息をつき、椅子にもたれる。
俺の机のほうへやって来て、彼女は俺に声をかけた。
「はい」
「この資料なんだけど、2ページ目の10行目と5ページ目の17行目に誤字があったから訂正しておいてくれる?」
「わかりました」
「よろしくね」
香水だろうか。
花の香りがする。
薔薇のような、彼女にぴったりの女性らしい香りだ。
きつくもなくほのかに香る薔薇の香りは、俺の心を刺激する。
今まで会った女性の中で、彼女がダントツで綺麗だと思う。
そんな人が俺の上司で、しかも教育係だなんてラッキーだ。
「お前本当羨ましいわ」
隣のデスクに座る、俺と同期の飯沼千隼(いいぬまちはや)が俺に話しかけてくる。
飯沼はサッカー部にいそうな爽やかな風貌をしており、未だに大学生のときのノリが抜けていないように思える。
髪はダークブラウンで、毎日ワックスできめているようだ。
俺が初対面のときはチャラい印象を受けた。
「藤堂さんが教育係なんて、みんな羨ましがってるぞ」
「飯沼の教育係は、恐いって有名な亘(わたり)さんだもんな」
俺は聞かれないように小さめの声で返事をする。
亘さんとはこの部署で一番怖いと言われていて、入社8年目、いつも怖い顔をしながらパソコンと向き合っている。
飯沼は頻繁に怒られ、怒声が部署内に響き渡ることも多い。
「まじでそれな。この間書類で一文字変換ミスしてただけで一時間怒られたわ」
「うわ怖っ…」
「俺もあんな怖い、しかも男の教育係じゃなくて藤堂さんみたいな綺麗で優しい人が良かったわ~」
飯沼はふうと溜め息をつき、椅子にもたれる。