ガチャッと扉を開け、白い息を吐きながら大きく足を動かし、目的地へと全力の猛ダッシュ。


「うーっ、寒っ!」


口を開くたびに、白い息が視界を遮った。

寝起きの頭には、こめかみを押し付けるような冷気が襲いかかる。

12月の霜が張り付いてキンキンに冷えたポストのフタを開けると、中には新聞と紙切れが入っていた。


「ん?なんだろう、これ?」

生魚でも放り込んで放置していたら、冷凍保存できるんじゃないか....と思うくらいの、冷凍庫みたいに冷えたポストの中に手を突っ込み、謎の紙切れを手繰り寄せる。

「手、紙....?」

手繰り寄せたのは、水色の封筒に入れられた手紙らしきものだった。

ひっくり返すと、宛先は加藤 愛様へ、と書いてある。


つまりは私宛の手紙だ。


しかし、どこを見ても送り主の名前が書いていない。

「誰からだろう」


謎の封筒を前にして、首を傾げていると....。