「どういうこと?」
発言の意図を尋ね返すと、彼は眉間にシワを寄せて、冷静に呟く。
「その手紙には、アイの本名と俺の本名が書かれていた。そして、アイの日課や起床時間、学校への行き帰りの道にある、踏み切りのことも書かれている。ということは、俺たちを知る身近な者が、その手紙を入れたのかも知れない」
言われてみれば、そうかも.....。
ただのイタズラにしても、この手紙の主は私のことをよく知り過ぎている気がする....。
いつの間にかやって来たストーカーか、何かなのだろうか。
「やだ、なんか怖い...」
寒さと見えない恐怖が入り混り、小さく身震いする。
そんな私を見て、レンは表情ひとつ変えずに肩からジャージを奪い取る。
「気が変わった。今日はアイと一緒に学校まで行く」
有難い申し出にニヤケつつも、喉からは「えっ!」っと驚きの声が上がる。
「いやいや、いいよ!悪いし!それに、レンは朝練だってあるんだし」
私が言い終える前に彼の足は、隣にある我が家へと戻り始めていた。
「朝練はサボる」