見上げた空に飛行機雲が横切っている。


青く澄んだ空は高く、ひんやりとした風はそっと彼を包み込む。


ーもう12年か・・・。


彼の目に映るものは消え、別の光景が彼の目を支配した。


赤い薔薇の花畑。彼の前を走る少女の儚い後ろ姿と白に似た金色の印象的な長い髪。


ー・・・れぃちゃん!!


今でも思い出す。


「カナ・・・。」


ー会いたいよ・・・。