「本日からお世話にまります。笑顔と元気しか今は出せませんが、ゆくゆくは可愛いラテアートができるのが目標です。よろしくお願いします!」
「その笑顔が良くて採用したんだ!今はそれができるだけで十分だ!ゆっくり経験を積んで楽しく仕事してね。」
そんな優しい言葉をかけてくれるマスターは丸メガネがトレードマークだ。
「お店が忙しくなるのはお昼くらいからだから、まずはコーヒーでも飲んでお店で出す味を理解してね」
そういって一杯のコーヒーを出してくれた。香ばしくなんとも落ち着ける匂いだ。
「うちは私がこだわってブレンドした豆を焙煎して、尚且つ焙煎して3日以内のものしか使わないんだよ。更にはシングルって言って一つの国の豆だけで飲めるコーヒーもあるんだ」
そんなコーヒー好きのマスターが熱弁を奮ってるとき彼がきた。
ガチャ。お客様かしら?「いらっしゃいませ」
そこには私と同じくらいだろうか、長身で髪が目に隠れるようなそしてどこか懐かしい青年が私を見ていた。
慎、おはよう。
マスターがそう言うと青年は、「この子新しいバイトさん?よろしくね!」
「僕は我妻慎。どこかで会ってるかな?」
そう、私も感じたのだ。。
「我妻‥もしかして!小学校は何小?」
「群馬県にある竹前小学校ってとこ。でも小学3年までね、あとはずっと横浜なんだけど。」
「やっぱりだ!私も竹前小学校!3年生の時ずっと隣の席だった慎君?うそー!!」
「ちょっとまってくれよ!2人は知り合いだったの?偶然?こりゃ凄いねぇ!」マスターも驚いている。
「僕もマスターから履歴書を見せてもらった時にどこか知ってる名前だなぁって。そうか優希ちゃん。大きくなったねぇ!」
笑い方ではっきりした。笑くぼできて白い歯。目元がシワってなる感じ。私の初恋。慎君だ。