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『うぇぇぇぇ~ん!!!!』



住宅街に響き渡る泣き声。


小さな頃の私。


私は、泣き虫だった。



『まち、どうしたの?』

『みぃぐん!!うわぁぁぁ~~ん!!』

『泣いてたら分からないよ、何かあったの?』

『ひっく、ころんだぁぁぁぁ~~!!!』



泣いているせいか、すべて叫び声になる。

右膝がジンジン痛むことに気がついた。

血が出ている。



思い出した、これは……

急いでみぃくん…充を追いかけたら、転んでしまった時のことだ。

私たちが大切な約束を交わした記憶。



『も~、まちは本当泣き虫だよね』

『だってぇ…ひっく、痛いんだもん』

『……はい、立てる?』

『うん…』


充が手を差し出した。

素直にその手を取って、立ち上がった瞬間。


『…決めた、ぼくがまちのこと守る』

『ふぇ…?』

『まちは、すぐに泣いちゃう泣き虫だから、ぼくがずっとそばにいて、守るよ』

『ずっと?』

『そう、ずっと一緒にいて、守る』

『ほんと?』

『うん、本当』

『やったぁ…!!』


私は、喜びのままに飛び跳ねた。

膝の痛みなんて忘れて。

手を繋いでいた充も一緒に跳ねた。


スキップするように駆けたあの日。


私たちは約束をした。


それは、幼くて、優しい約束。


絡めた小指の感触も、すべてが愛しい。


私たちの始まり。