「ふぅ……」


充は、私の隣にゴロンと転がった。

スペース広い方がいいかと思って、少し間を開けたら、無言で引き寄せられた。

小柄な私は充の腕の中にすっぽり収まる。


「おやすみ」

「…えっ、泊まってくのっ?」


驚いて声が裏返ってしまった。


「うん、少しでも一緒にいたいし」

「ん~~……」

「え、ダメ?」


だって……寝られない!!!

いくら幼なじみとは言え、異性だよ!?

彼氏だよ!?

だんだん顔が熱くなってきて、目を合わせられない。


「まさか、万智変なこと考えてる?」

「はっ??」


パッと充を見ると、ニヤニヤしている。

むしろ考えない方がおかしいでしょ…!!


「今日はしないよ、疲れてるし……万智はしたいみたいだけど」

「……」

「だからその顔やめろって言ってんだろ……理性飛んだら知らねーよ???」

「だから、どんな顔なの」


ムッとして言うと、またいきなり口を塞がれた。



角度を変えて、深さを増して、クセになる充のキス。

何の予告もなく始まるそれは、また何の予告もなく中断される。


「……はぁ」

「万智はあんまりキス上手くならねーな」

「……悪かったですね、下手で」


プイッとそっぽを向いたら、カラカラ笑いながら、こめかみにキスが落とされた。


「万智、起きたら机の上見て」

「ん?わかった」

「渡したい物があるから…」

「うん……うん?」


規則正しい息が頬にかかってそちらを見ると、そこにはあどけない寝顔があった。

変わらない、赤ちゃんみたいな無垢な寝顔。

なんとなく頬をぷにぷにしたけど、全然起きない、爆睡。

疲れてるんだろうな。

……でも、私より肌綺麗。

ムッカつく~~

更にぷにぷにすると、


「ん……」

「…っ」


起きたかと思った……

それにしても寝顔がかわいい。

自然と頬がゆるゆるになる。


「ふふ」


そ~っと頬にキスすると、私も一緒に目を閉じた。

大好きな温もりに包まれて、眠気が自然とやってきた。

意識が沈む瞬間、名前を呼ばれた気がした。