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「懐かしいな……」
あれは、中3の春。
燃えるような夕焼けに染められながら。
新しい約束をした。
大人からしてみれば、中学生の私たちが一生を誓うなんておかしいのかも知れない。
でも、それでもいい。
それがいつか証明されることを、知っているから。
「あ、そう言えば」
ベッドから起き上がって、机に向った。
そこには、メモとライブチケット。
なになに?
《新曲の発表があるんだ。神田と佳月でも連れて来てくれ》
よく見たらチケットは3枚あった。
わざわざ呼ぶってことは……あ、この新曲を私に聞いてほしいってこと?
充は、よく私を“肝心なことに気が付かない人”扱いする。
でもそれは、充が“肝心なことを言わない人”だからじゃないか説がたった今、提唱された。
アイドル業を始めた理由も、ドラマについて不安な理由も…わざわざライブに呼ぶ理由も……
いくら一緒にいた時間が長くても、それは流石に言ってくれなくちゃ分からない。
言わなくても分かることと言えば…今の気分、どうしたいか、今言ってることが嘘か本当か。
それ以上は、いくら過ごした時間が長くても察しようがない。
どこまで行っても他人という事実が、少し寂しい。
ふぅ、一息ついてから大きく伸びをした。