朝早く学校に来て、勉強するのは中三になってから私の日課だった。

早起き組の私に、水野君が加わったのは夏休み明けたぐらいから。


水野君が来るようになってから、過去問のページの進みは少し遅くなったけど嫌ではなかった。



学校でも、家でも、塾でも、勉強勉強勉強。


そんな毎日の中で水野君と話している時間は心が軽かった。


「じゃあ、あと15分俺頑張るわ。」



そう言って、机に向かう水野君につられ、私もシャーペンを握る。


過去問の複雑な文章を読み直し、横に居る水野君を少し見た。


わかんねーと言いながらも、参考書に向かう彼は本当は勉強なんて必要のない人。


勉強が必要ない、というのはおかしいかもしれないけど、要するに彼はそのぐらい、"持っている人"なのだ。