「あー、そゆことか。さんきゅ。」


私の説明をきいた水野君は、また参考書に向かう。

私も隣に座って過去問を広げた。



七時半の教室。

受験生という肩書を背負う早起き組の私たちは、こうして真面目に勉強しているのだ。




「宮川、もう過去問解いてんの?」



勉強に飽きてしまったのか、シャーペンを転がしながら水野君が言った。



「うん。もうはじめないと間に合わなくて。」


私が広げているのは、某有名私立高校の過去問。

それをチラリとみて、
「あー、宮川頭いいもんな。」

といった水野君は、お世辞にも頭がいいとは言えない。




「こないだの模試どうだった?」


「うーん、まあまあかな。」


「宮川のまあまあってどうせ平均80とかだろ。」


「....85。」


「うわっ。やっぱな。」



すでに七時半から十五分ほど時間がたち、私たちはたわいもないお喋りを始める。