「何聞いてんの?お前」

うわーやっちゃった。

「そ、その私は聞く気もありませんでしたし…それに…」

「言い訳?普通に聞いてたよね…見えてたよ」

「っ……!!」

「何下向いてんの?」

私は下を向いている。
目を合わせたくないからだ。
それに私の前髪はとても長い。
目も隠れている程だからね…

それなのに…

「目合わせて話せよ…!」

先輩は無理矢理、私の顔を前に向けて私の前髪を上げた。

「なっ………!」///

いきなりのことで頭が追いついていない……
それに目が合った…

「っ……目…合わせれんじゃん」

「あ、あ、合わせれませんよ!」

私は必死で目を逸らす。

ダメだ…恥ずかしい。

「お前、何年何組、名前は?」

「私は1年A組…佐々木真菜…です」

「あーあの地味な子か…」

名前まで教えてしまうとは…

「俺は2年A組の清水虹輝だ」

知ってるっての…

「じゃあ自己紹介は終わりましたし…私はこれで」

「ちょ待てよ!」

私は立ち上がり保健室から出ようとすると先輩は私の手を取った。

「な、何ですか!?」

「俺の家のこと知ったんだったら明日からは…俺と一緒に行動してほしい。」

…………は?

「あのどういうことですか?」

「あの電話で分かったと思うけど俺の父親が酒に弱いんだよ。それでよく暴力を受けるんだ。特に母親が」

「そ、それで?」

「で、いつ電話が来るか分かんねぇだよ…だからもし電話が来たらお前も一緒に来て欲しい」

「え?」

来て欲しい?
危険な場所に女子を連れて行くの?

「私はそんな危ない所に行くの嫌ですよ!」

それに先輩と一緒にいるのも…

「お前には母親の手当てをして欲しいんだ……」

「先輩がすればいいんじゃ」

「その…俺、女の体を見るのが…慣れてないんだよ…」//

「は…?」

もしかして母親の怪我を手当てして欲しいから?
うーん…助けたいな…
そんなに酷そうなら更にだ。

「………分かった」

「本当か!?よっしゃ!」

「でも、私はあくまでも母親のため。先輩のためじゃないですよ」

「ふーん…でも何でそんなに俺のこと嫌うんだよ」

「………清水先輩には関係ないですよ」

「…まぁ明日からよろしくな、真菜」

「っ…分かりました」

異性から名前で呼ばれるのはやっぱり慣れない。

あの人から名前を呼ばれてるみたいで…

嫌だな…

とか思ったりする