本当に、また僕の前に戻ってきてくれる確証も自身も何もない。

 もし、何かのきっかけで、この小説に沙織が巡り合い、そしてありえないかもしれないが、沙織が何かを感じてくれれば、僕はそれでいいと。

奇跡は起こらないかもしれないけど、ただ単なる自己満足になるかもしれないけど。僕はそれでいい。

 僕は、廻るめく「運命と言う悪戯」を信じ描く。

 沙織に送るこの小説を。

 僕は頻繁に沙織の家に行くようになった。

もうほとんど自分の家の様な感覚になっていた。それを思えば、沙織が僕のアパートの来ていたのと反対の事になる。


 バイトも再開した。でも出来るだけ早い時間に終わるようにしてもらった。沙織と一緒にいられる時間を少しでも多くほしかったから。


 今日も沙織は、僕をバイト先まで迎えに来ている。そして、そこから近くの僕のアパートには寄らず沙織と二人。沙織の家へ帰る。二人そろって。

いつも。出来るときに。いつも……


 二人そろって言う「ただいま」そして返る言葉「お帰り」と沙織の暖かい家族。


いや、僕の大切な家族が出迎えてくれる。いつものように。