「そ、そうだ。まだ名前言っていなかった。僕は「亜咲達哉」大学3年生」

 彼女はすぐに

 「私、今村 沙織(いまむら さおり)。常盤大学教育学部3年」

 常磐大?それは僕が通う大学と一緒だった。

 「本当に、僕も常磐大の文学部なんだ」

 彼女は驚いたように


 「え、ほんとに」


 「ほんとに、ほんと」


 そして二人は笑いだした。それはお互いに初対面であるという壁が薄れていく瞬間だった。


 「ねぇ、また読ませてくれる」


 彼女の問いに

 「え、いいの。また読んでくれるの」

 「うん、読ませてくれるのなら」

 「も、もちろん。こちらこそよろしくお願いします」


 彼女はクスッと笑い、鞄からスマホを取り出しSNSのQRコードを表示させて


 「はい、登録しましょ」


 そう言って僕にQRコードの画面を指し出した。

 「え、でも……いいの。まだ会ったばかりなのに」

 「え、でも、小説読ませてくれるんでしょ。出来たら連絡ほしいし」

 あ、なるほど。そう言うことなら


 僕のスマホをが彼女のQRコードを読み取ると、電子音と共に彼女のアカウントが登録された。



 「新しい友達。今村沙織」