「愛奈ちゃん。私、愛奈ちゃんの友達になる。ねっいいでしょ、友達なんでも話せる親友に、沙織も私の親友。だから沙織も一緒に愛奈ちゃんの親友になろ」

 「もちろん」沙織は涙を少し手の甲で抑え言った。

 宮村は愛奈ちゃんを抱き抱えたまま

 「愛奈、良かったな親友が出来て」そう言って彼女の髪を愛おしそうになでていた。

 その中で愛奈ちゃんは頷いていた。


 しんみりとした空気を換えたのはやはり宮村だった。


 「亜咲、お前いつから沙織さんを呼び捨てにしてんだ」矛先はそっちに来た


 ナッキも「そうそう、今日訊いてびっくりした。すこし会わない間に「沙織」「達哉」だって焼けちゃうね」
 「あ、いいや。今日からだよ。そう今日から」

 それを訊いた沙織は「え、違うよ。昨日からだよ」

 「え、違うよ。今日沙織と店の駐車場で会った時からだよ」


 それを沙織は真っ向から反論して「いいえ、違います」


 鞄からスマホを取り出して昨日僕が送信したSNSの記録をみんなに見せながら。


 「ほら、ここにーーお休み沙織ーーて書いてあるじゃない」


 宮村は食い入るようにしてみて「あ、ほんとだ」ナッキも「書いてあるねぇ」と笑みを浮かばせ、愛奈ちゃんは「キャッ」と言って顔を赤らめて口を手で押さえた。


 「まいったなぁ」と言って何も言えなくなった僕が、今度は顔を赤くする番だった。


 そんな事を言い合いながら、飲み物が切れたころ合いを見て、宮村と愛奈ちゃんを部屋に残して僕らは各々の部屋へ入った。

 少しして、沙織からSNSのメッセージが来た「そっちに行ってもいい」とすぐに「いいよ」と返した。

 ノックの音がする。すぐにドアを開けた。

 微笑んだいつもの沙織の顔が目に入る。 

 ベットに二人で腰かけ軽くキスをした。

 それから二人で手をつなぎ、ただそれだけ、ただそれだけでとても暖かい気持ちになった。

 いつしか手をつないだまま、眠りについていた。一つのベットで。