今、僕のバイトするカフェは従業員の数が通常の三分の一で店をまわしている。

それは今年会社の意向でビーチに海の家ならず、夏にオープンテラスを主体として営業できる新店をオープンさせたからだ。今ここにいないメンバーは新店の応援ヘルプへ駆り出されている。そんな時、僕は恵梨佳さんから呼び止められた。


 「あ、亜咲君ちょっといい」僕はトレーを置いて恵梨佳さんの所に行った。

 事務所に行くと恵梨佳さんはパソコンでシフトを作成していた。

 「恵梨佳さんなんですか」と訊くと

 「うーん、それがねさっき新店から連絡が来て、もう一人ヘルプ出せないかって。ほら、行っている子たちの休みが重なっちゃって、3日くらいでいいんだけど。それでね亜咲君はどうかなって」

 ちょっとすがる様な感じで恵梨佳さんは訊いてきた。

 「あ、無理にとは言わないわ、彼女との予定があるんだったらそっちを優先していいから」

 特別沙織さんとの予定も組んでいなかったから引き受けた。

 「ハイ大丈夫ですよ。特別予定もありませんから」

 恵梨佳さんは「ありがとう」と言った。

 「それでいつからですか」と訊くと8月の1から3日までと答えた、付け加えて

 「こっち2日から4日まで改装工事入るからお店休みになるんだけど、こっちのメンバーも少ない人員の中やっているから、みんなにお休みもやらないといけないし、ちょっと困ってたの。亜咲君引き受けてくれて助かっちゃった」

 そういえば前から告知の張り紙が掲示されていた。8月の2日と3日そして4日の3日間店内改装のため休業すると。

 その日、僕は沙織さんに新店にヘルプに行くことを伝えた。

 大学が休みになった僕の今日のシフトは早番だったから明るいうちにアパートに帰っていた。そこには、明日最後の補講を残した沙織さんもいた。

 「ええ、あさってからヘルプで行くの。でもいいなぁビーチの真ん前なんでしょ、私も行きたいなぁ」と羨ましがっていた。

 「でもビーチに遊びに行くんじゃないから大変だよ」

 「それもそうだけど……」

 ちょっと残念そうにしていた。

 「寂しいけど、お土産買ってくるから。あ、そうだ宮村にも連絡しておかないと」

 僕は宮村にもヘルプに行くことを伝えた。今はもうだいぶ落ち着いているが、もしもの為に……。