予定の講義日程、それに試験が入る。
そんな中、僕は沙織さんをモチーフにした小説に取り掛かっていた。
今良かったと思う、1,2年と詰めるだけ詰めて講義を入れ単位を取得していたことを。それにもういくつかの企業から内定を受けている奴も見られるようになった3年の夏。
僕ら大学生に取ってここからが実社会にデビューするオーディションが始まる。
僕の所属する文学部の試験は7月の26日で終わる。それから補講期間が7日ある。僕が出席しなければいけない講義は7月中2日間だけだった。
実質8月からは9月の末まで大学は夏季休業となる。
あの日、沙織さんと僕のバイトするカフェに行った時、厨房で僕が彼女を連れてきたことで騒いでいると思っていたが、以外にもみんな冷静だった。
次の日僕は沙織さんとの事を騒がれるのを覚悟してバイトに向かった。
「亜咲、亜咲。こっちこっち」
制服に着替えると僕は厨房の方へ呼ばれた。そうら来たと思っていたが「凄いな亜咲お前の彼女めちゃ可愛いし美人じゃん」厨房のメンバーも「俺も見たかったなぁ亜咲の彼女。また連れて来いよ」と言ってくれ、同じフロアパーサーの女の子も「はぁ、亜咲さんにもっと早くアプローチしておけばよかったなぁ。
でもあんなに可愛い人と知り合いなんだから、私なんか目にも掛けてくれないだろうけど」
「…………」
そこに恵梨佳さんと支配人が来て
「みんなあなたの事を祝福してくれているのよ」恵梨佳さんが微笑んでいってくれた。そして昨日人気の席を支配人が抑えてくれたことに礼を言った。
「済みませんあの時間に一番人気の席を抑えていただいて」
すると支配人は
「確かに私も指示しましたけど、あの席を知っておられるお客様も多くいらっしゃますし指定されればお通しするつもりでしたよ。でもフロアのみんなや厨房スタッフの協力でうまい具合にほかの席に誘導していたみたいですけどね」
それを聞いて涙が出そうになった。沙織さんが言うように僕の傍には素晴らしい仲間がたくさんいた。そしてみんなに感謝を込めて
「みんな、ありがとうございます」頭を下げて礼を言った。
そして恵梨佳さんが締めるように