♥.。.:*♥.。.:*紹介♥.。.:*♥.。.:*
「___さて、これから君たちはこの学校_楽都(かくと)中学校に入学するわけだが...校長である私から言わせてもらいたい事はただ一つ、青春を謳歌して欲しい」
名門校・楽都中学校___厳しい受験競争の中、勝ち残った勝ち組のみが入学を許される学校である。
補欠であるものの、しっかりと入学手続きを終えた楽都中学校の新入生、
山内 亜矢(やまうち あや)
は、これから始まる中学校生活に胸を踊らせていた。
(すごく楽しみだなぁ、友達出来るかな)
時を同じくして、亜矢以上に緊張していた生徒がいた。
村田 真梨子(むらた まりこ)
だ。
(部活に入るなら、ダンス部がいいな☆踊るの好きだしぃ〜(ง ´•౪•`)ว )
それとは反対に、中学校生活に希望を抱いていない少女もいるもので。
山里 陽葵(やまざと ひより)
この少女はどうやら、もっとレベルの高い中学校に入りたかったようだ。
(友達なんて作らない。___希望なんて、持ってないから)
そして、既に出来てしまったグループに不満を抱くもの...
中岡 麗子(なかおか れいこ)
も、後にこの物語のページを彩る者になるはずだ。
(はぁ...心地よいグループ作りたい)
麗子とは対局に、グループに満足している者もいた。
荻原 真希(おぎはら まき)
(ふふふっ、楽都中学校サイコー!)
そして、友達作りに勤しむ、女子力高めの女の子も。
脇 結菜(わき ゆいな)
(キャハハ、部活どこはいろっかなぁ)
これからこの6人の、部活生活が幕を開ける。
.*・♥゚+°・♥*.発見.*・♥゚+°・♥*.
ザワザワ、ザワザワ...
楽都中学校、一年A組の教室は嫌に騒がしかった。
つけてきたネイルを自慢する者、
早速汚した制服を一心不乱に拭く者、
馬鹿をやって騒ぎ立てる者...。
亜矢は、仲良くなった
宮岡 仁奈(みやおか にな)
と、おしゃべりをしていた。
「でね、そこでラスボスが出てくるの!」
「ふぇ!?それでそれで!?」
2人で好きなゲームの話をしていた。
すると、仁奈がこう言い出したのだ。
「亜矢ちゃん、部活何にする?」
亜矢はこう、答えた。
「うーん、特にやりたいこともないし、帰宅部かなぁ。」
仁奈はその答えにブウと口を尖らせると、
「せっかくだから、何かに入ろうよ!...そうだ、きょうの放課後、部活見学行こう!」
亜矢は興味がなかったので、断ろうとした...が、仁奈の圧力に負け、しぶしぶ了解した。
その日は、自己紹介と連絡物が配られて、終礼となった。
そしてついに、放課後...
ヘトヘトの体にムチを打ち、仁奈について行く。友達との付き合いは、絶対だ。
まず行ったのは、バトントワリング部。
腰や頭を激しく揺らしながら、先輩たちは踊っていた。
亜矢はそれに対し、何も感じなかった。
次に行ったのは、女子サッカー部だ。
へいパス、などと叫びながらボールを追い回し、口の空いたゴールに入れる...
なんとつまらないスポーツだ?
それからもいくつかの部活を回ったが、どれもパッとしなかった。
「仁奈ちゃん、ごめん。今日私帰るね」
「分かった、バイバイっ!」
(はあ...良い部活無かったな。
やっぱ帰宅部か...)
そんなことを考えながら、亜矢は廊下を歩いていた。
すると___。
「たごのうらに___」
シュッ、バンッ...!!!!
空を切るような音が、亜矢の目前を駆け抜ける。それと共に、
『ふしのたかねにゆきはふりつつ』
と書いてある少々厚めの札がハタリと足元に落ちた。
「ここも...何かの部活...?」
少し興味を引かれていた亜矢は、恐る恐るとではあるが、札を拾った。すると、
「ありがとっ!新入生」
透き通るような白い肌に紅色に染まった艶かしい唇を持つ、美しい少女が駆け寄ってきて、亜矢から札を取り上げた。
慌てて亜矢はその少女を引き止めた。
「あのっ...!」
「...ん?」
「これって...何部ですか」
少女は一瞬、キョトンとした顔をすると、すぐにアハハと笑った。
「百人一首。知ってる?小学校とかでやったかな。」
ひゃくにんいっしゅ...。聞いたことはある。
確か、下の句が書かれた札を取る、競技かるただった気がする。
亜矢はあまりかるたについては詳しくなかったものの、もう既に、先程の少女の取りに心奪われていた。
でも、亜矢は怖かった。
何かにハマって、そして何かをおろそかにして呆れられてしまうことが...。
だから亜矢は、
「百人一首ですね、ありがとうございます。...それじゃ」
そして、帰ってしまったのだった。
帰り道、そして家に着いてからも、亜矢の頭は百人一首のことでいっぱいだった。
亜矢はその日、百人一首について調べた。すると、まず競技を行うには札を100首覚えなければならないことが分かった。
面倒くさかったものの、特にやることもなく、何より百人一首に大きな興味があったので亜矢は覚えることにした。
「えーっとナニナニ?...『秋の田の』が『わが衣手はつゆに濡れつつ』?
だーっ!!!!覚えらんないっ(ó﹏ò。)↷↷」
結局亜矢は一睡もせず、次の日を迎える形となった。
(あー眠...。死ぬかも...)
トロトロとした足取りで歩いていた亜矢に、思い切り突進してきた女の子がいた。
村田真梨子である。
2人は接触し、倒れた。
「アイタタタ...ごめんなさいっ!!!!」
「え!?いや...大丈夫」
「そうですか...キャー!膝!膝から血!出てますよ!?ごめんなさい、バンドエイド...」
真梨子はゴソゴソと、バッグを漁り始めた。でも結局は、
「ごめんなさい、ハンカチしかなかったです...。これで、なんとか抑えてください!」
そして、ハンカチを手渡してきたのだ。
「ありがとう...。あの、名前は?」
「真梨子っ!村田真梨子!!!!そっちは?」
「山内...亜矢」
「あーっ、昨日の自己紹介の!同クラか〜よろしくね、亜矢ちゃん」
「こちらこそ」
そして2人は、友達になった。