落ちて、染みて無くなる。

視界がぼやけて、二人が朧気になる。

本棚に隠れることしか出来ない自分がいやになる。


諦めないって、決意したばっかなのにな。



涙を無理矢理止めて拭き取る。

歩斗君のいる席まで行って、私も座る。

「良い本、見つかった?って、葉崎さん?」

歩斗君を見つめていたから、不思議に思ったんだろう。



「歩斗君。私、行くよ。夏祭り。歩斗君と一緒に。」

目を見開く歩斗君。
びっくりしてる様子からして、こんな返事が来るとは思ってなかったんだろう。

「ま、じで?やった。」


図書室だから、静かにしなきゃいけないっておもってるのかもしれないけど、小さくガッツポーズする歩斗君。

ちょっと、面白い。

「うん、宜しくお願いします。」
「っ。はい。楽しみにしてる。」

ごめんなさい。歩斗君。

でも、強くなりたい。
利用してるって言うのかな。


言うんだろうな。