浅はかだと思われるかもしれない。

愛を信じられないなんて言った後に、こんなこと言ったら、信じてくれないかもしれない。

でも、紛れもなく真実だから。

秋山君はどう思っただろう。

一縷の望みをかけて、秋山君を見つめる。

でも、そこに現れた表情は、返事と言うのには、ほど遠い表情だった。


苦悶。


そう呼ぶのに等しい.......。

「ごめん、あんな偉そうなこといっといて。
葉崎さんは、愛を知ったのに.......。」

放たれた言葉は、私を崩すのには充分だった。

「あ、ううん。そんなの、良いって!私が一方的に告白しただけだから!」

でも、ここで私が悲しい顔をしてはいけない。

苦しそうに、
顔を歪めた表情には、
私のことを恋愛対象として見られていないと言いうこととは別に。

何かに引き摺られているような。

そんな雰囲気を出している表情だった。

「葉崎さんは、俺なんかの為に、思い出したくもない過去を話してくれて。
だから、俺も少しだけ.......。」

少しって、何がだろう。

もしかしたら、君を縛る何かがあるのだろうか。
だとしたら、私の感じた君への印象は決して間違っていなかったということ。

「俺は、人を愛しちゃいけない。愛せないんじゃなくて、愛すことをしてはいけない。」
「そ、れは.......。」
「俺が大切にしたいと思った人が目の前で消えていった。ごめんね、これ以上は、ちょっと.......。」
「あ、ううん!全然!むしろ、ありがとう。
苦しいのに、話してくれて。」

愛してはいけない。

一体、彼に何があったのだろう。
それを聞く術を、今私は持ち合わせていないけし、君にそんな残酷なことを言えるはずもなかった。

君はきっと、今心のなかで泣いているでしょう?

思い出したくもない過去を思い出して。

見たくもない現実を受け止めて。

君は必死で、今立っているんだろう。

やっぱり、私と秋山君は何処か似ているのかもしれない。