「でも、何で二人が離婚したかは分からない。
でも、1つだけ分かったことがあるんだ。
それは.......、愛なんか存在しないんだってこと。
愛しあっていた、何て、そんなのそれぞれの自己満足でしか無いんだ。
だから、私は人が信じられなくなっちゃった。
今も、友達がいない。
変でしょ。過去に縛られてばっかで。」

へへって、私は自分でも分かるくらい力なく笑った。

でも、秋山君は真剣な眼をして、

「.......俺は、違うの?」
「え?」

意外な一言だった。
違うって、何が違うんだろう。

「俺は、葉崎さんの、友達じゃないの?
それに、歩斗と桜だって。
少なくともあいつらは、葉崎さんのこと、気に入ってると思うけど。」
「あ.......。」

ざっと、風が吹く。
秋山君の目から逸らせなくて、見ていないけど、きっと足下のたんぽぽはさっと揺れた。

「そ、うだね。友達だよ。ありがとう。」
「うん俺も。ありがとう。友達になってくれて。」

そう言って、君はふわっと笑うから。

私の心も、ふわっと浮くような感覚になった。


「それにさ、葉崎さんは、愛を知らない人なんかじゃないよ。」
「え。」
「図書室で、始めて俺に声を掛けてくれたとき、俺さ、実は、この人は綺麗な瞳をしてるなって思ってたんだ。」
「そんな.......。」

そんなこと言ってくれる人に始めて出会った。
私が綺麗な瞳をしてるなんて、誰が思う?

「だから、愛を知ってるよ葉崎さんは。
その瞳できっと正しいものを映してるよ。」

君が、私には充分過ぎることを言ってくれるから。

もう、無理だ。

愛を知ったのは、秋山君のおかげなんだ。

「すき.......。」
「は?」
「好き、なんだ。秋山君のこと。
愛することを教えてくれたのは、他でもなく、秋山君だった。」
「.......。」

私の精一杯の気持ちを、君に伝える。

愛を信じられないなんて言った後に、こんなこと言ったら、