背後から柔らかな声が聞こえた。 振り返る。 君がいた。 さっと取って、私に渡してくれる。 「ありがとう。」 そういって本を受け取ろうとするけど、何故か固く握られて、受け取れなかった。 見上げると、私を見つめる響がいた。 「あの日も、ここで加那に出逢ったね。」 静かに、でも、しっかりと、紡ぐ声。 「きっと、あの日から、加那が好きになってた。」 「え.......、」 今、好きって言った? それは、恋愛感情での、好き?