加那side

コツコツと、私と桜ちゃんの足音だけが音を作る。

こんなに静かな時間を桜ちゃんと過ごすのは初めてだった。


「私さ!さっき、響に振られてきたんだよね!」
「へ?!」


びっ、くりした。

急に大声で言うから。

それに、

振られてきた?



あ、あの「中庭で。」ってやつかな。


「うん。そっか。」
「もぉ~!分かってんのぉ~?加那ちゃん!どういうことか!」
「何が?」


どういうこと?


「私は振られたんだよ?じゃあ、私は負けたんだよ?正々堂々と!なら、加那ちゃんは?どうするの?」

どうするって.......。



分かんないよ。

「加那ちゃんも、響に想い、伝えなくていいの?ってか!私だけ派手に散って、不平等ぉ~!」


想いを、伝える。




うん、私も向き合わなきゃね。


「そうだね。頑張ってみる。」
「うん!ガンバ!」




向き合うよ。




もうすぐ季節は秋になる。


もう、今じゃ秋は、私にとって.......。