歩斗side

残された、俺と響は仕方なく二人で帰る。

「俺な、葉崎さんに振られた。」
「え、」
「振ってくれって、頼んだ。葉崎さんさ、泣いちゃって。やっぱり優しいな。」


それに、あの時の葉崎さんはとても綺麗だった。



「そっか。」


それだけ言って、響は黙る。

なんつうか、こいつも、

「素直になれよ。チャンスなんか何回も来るもんじゃないからな。」
「!.......ああ。」

ちゃんと分かったかな。

なに考えてるか、基本分かんないからな。


そう思うと夏祭りのあれは凄かったな。
あんなに素直な響は見たこと無かった。


響を変えたのは、紛れもなく葉崎さんなのに。
葉崎さんは、きっと気付いて無いんだろうな。


.......あぁ~、妬けるなぁ。

俺、当分葉崎さんのこと諦められないかもな。


ははっ。キツいなぁ。



ま、いっか。いつかは薄れるんだろうし。


こいつにも、幸せになってほしいし。




悲しいはずなのに、俺は笑みを浮かべていた。

「.......何笑ってんの。」
「何でも。」



どうせ、直ぐに分かるよ。




全部ね。