人気の無くなった放課後。

歩斗君はもう、野球部を引退してる。


そんな彼と二人きり。


しん、とした静けさの中、先に口を開いたのは歩斗君だった。


「俺ね、葉崎さんの素直さとか、その中にある強さとか、凄く尊敬してるんだ。」
「え。ありがとう.......?」

急に言われるから、びっくりして、疑問系になってしまった。


「そういうのを、見てたらね。葉崎さんのこと、普通には見れなくなってなってたんだ。」



え、それは、つまり。


「好きだよ、葉崎さん。初めて会ったあの時から気になってた。
一緒きに過ごす中で、凄く、愛しくなってた。」
「っ.......。」

そんなの、知らなかったよ。


こんな私のことを好きになってくれるなんて。
嬉しすぎる。


視界が滲んでいくけど、ここで泣くのはおかしいから、必死で堪えた。

「.......でも、葉崎さんは、響のことが好き、でしょ。」
「えっ。」


何でバレてるの。


きっと、私の顔は林檎みたいに赤い筈だ。

「それを分かってて、俺は今日、葉崎さんに告白した。
悔いを、残したくなかったから。
だから、葉崎さんに頼むなんて、ずるいけど、俺を振ってほしい。」