「でさぁ〜その上司が言うのよ! 〈駒鳥(こまどり)君は26歳だっけ?誰か良い人は居ないの?〉ってさぁ!よけーなお世話だっつうの!」

そう良いながらジョッキのビールを一気に飲み干すミーナさん


「プハァー アンナーアンナー」

「ちょ、ミーナさん!このボタン押すんですよ」

と言うも酔っ払ってて俺の言葉が届いてないのか店長さんを呼び続けるミーナさん。


ピンポーン

「アンナーアンナー」

「はいはい今呼び鈴鳴らしましたからねもうすぐ来ますよ」

と言った瞬間


「お待たせしました」

と襖を開けアンナさんが登場した。

それを見たミーナさんは
「アンナ〜〜」
と良いながらハイハイでアンナさんに近付きそのままアンナさんに抱きつく

「こらミーナ!私はまだ仕事中だぞ!」

と言うもミーナさんには届いてないのか


「何を〜アンナは私と飲みたくないと言うのかー!」

と、滅茶苦茶絡み出した。


「き、君!ミーナの彼氏!」

そう呼ばれ一瞬誰の事だ?と思ったがこの状況俺の事だよな?

「ち、違いますよ!ミーナさんの彼氏じゃありません!」

「なんでもいいよ!助けてくれ!」


と助けを求められアンナさんに悪絡みしてるミーナさんを引き離そうとする


「やぁーだーアンナと飲むのー」

と駄々をこねるミーナさんの腕を掴む………や、柔らかい…なんて場合じゃない!

「まだアンナさんは仕事中だから迷惑ですよミーナさん!」

「あと少しで終わるから待っててくれよミーナ」

と俺とアンナさんでミーナさんを説得し何とか落ち着かせた。

それから40分経った頃

「ミーナお待たせ」

と、アンナさんが入ってきた。

だがミーナさんは酔いつぶれていて横になって眠っていた。

「なんだ寝たのかミーナ」

「はい。あの後少しして寝ちゃいましたよ」

「ふむ…全くいくつになっても変わらんなミーナは」


仕事中のアンナさんはポニーテールをしていた。
でも仕事が終わったアンナさんは髪を解き長く綺麗な黒髪をあらわにしていた。

アンナさんは凛としていて綺麗な方だ。
それに比べミーナさんは可愛い方と言うか悪く言えば子供っぽい人で…案外釣り合いの取れた関係なんだろうなと思えた。


「君、名前は?」

「あ、二丈クチアです!」


そう名乗るとアンナさんは思い出したように指ぱっちんをした。

「そうか!君がクチア君か!ミーナから話は聞いてるぞ」

「え?」

と驚いてしまった。


「まだ若いのに1人暮らししてるんだって?ミーナが褒めてたぞ。あと気配りが出来ていつも自分の我儘に付き合ってくれる優しい人だって言ってたな」


「そんな出来た人間じゃないですよ!」


と言いながらもミーナさんがそんな風に自分を想ってくれていて嬉しい気持ちになる。



「そう謙遜するな。…あ!そー言えばこうも言ってたっけ」


と何かを思い出したのか意地悪な顔になるアンナさん


「な、何思い出したんですか?」


と恐る恐る聞く。


「クチア君、君!時々ミーナをイヤらしい目で見るんだって?」


はっ!?バレて………いやいやいやいやな、何を言ってるんだよミーナさん!


「そ、そそそんな事!」

あ、やばいこれじゃ認めてるもんだ!


「ふふふふ。まあ、ミーナは巨乳だからなぁ…しょうがないのかな?」


と意地悪な事を聞いてくるアンナさん


「そ、それはその…」

と口籠る俺…


「クチア君は私とアンナどっちの方が好きなんだい?」


この質問の意味はすぐに分かった。
巨乳のミーナさんと比べアンナさんは無い方だ。
なのでこれは巨乳か貧乳どっちが好きなのかの質問だと理解出来た。


「そ、それはその…えーと…ははは」

と笑って誤魔化そうとする俺。



「クチア君?何を誤魔化そうとしてる?それに私が何を聞いたと思ってるのだ?んー?」


と更に質問責めをしてくるアンナさん。

その質問の答えを言ってるかのようにアンナさんの胸を見てしまった俺…


「まあ!君は失礼な人だなー私が貧乳だと言いたげだぞ?貧乳とな!」


貧乳の部分を強めに言うアンナさん。
とっても気にしてるのだろうか…とどう反応していいのか分からない時に


「もうそれぐらいにしてあげてアンナ」


とミーナさんの声が聞こえた。


「む、ミーナ起きたのか。」

「ちょっと前に起きた〜」

「そうか騒がしかったかな?」

「それよりクチア君イジメちゃダメ!なんだよ!」

「や、違うんだ別にイジメてた訳じゃ…」

「でもクチア君困ってたから謝らなきゃダメだよ!」


そうミーナさんが言うとアセアセとアンナさんが俺の方を向く


「すまなかった。クチア君の反応が面白くてつい…」

そうアンナさんが言った後ミーナさんが口を開く


「ごめんね。アンナはSっ気があってね…こんな性格だから彼氏が出来てもすぐにフラれるの。」


「なっ!ちょっとミーナ!今はその話関係ないだろう!」

「あはは〜クチア君イジメたばーつ❤︎」



一見クールな感じのアンナさんはミーナさんをリードしていく親…みたいなそんな関係なのかなって思ったけど
ミーナさんの前ではアンナさんはどこか子供っぽくて……さっきのも親に叱られてる子供みたいな感じだったし
なんだかんだこの2人は相性が良いんだろうな。


まだ言い合いをしてる2人を見て
「ふふふ…」
自然と笑みが出る


「クチア君!何が可笑しいんだ?」

とアンナさんに聞かれる。

「いや、2人仲良いなって思って」


「まあ、20年の付き合いだしね!」
とミーナさんが言う

「正確には18年だがな」
とアンナさんが突っ込む


「もー、アンナは細かいなぁ!」

「しょうがないだろ性格なんだから!」


そう言い合う2人に割って入る

「でもお互いそんな所が好きなんですよね!?」


「む…それは…うむ…」

「私はアンナのそーいう所好きよ!」

「な、は、恥ずかしい事を言うなよミーナ!」




こうして楽しくも優しい時間の中俺は明日もこの先もこの世界の中で生きていけるんだと思っていた。

でもまさか…あんな事になるなんてこの時の俺は思いもしなかっただろうな。
そーいやこんな言葉を思い出した…確か何かのアニメ…いや、漫画だったのかも知れない、でも何かで聞いた事がある言葉だ。



それは《幸せな時は有限》だって言葉…。