グリーンの葉に深紅の花びら。
鉢を包むのはゴールドのラッピング。
大きく結ばれたリボンは、花びらと同じ鮮やかな赤。
「わかんない? 別れたいんだって」
知らない女から突き付けられた、別れの伝言。
渡すはずだったプレゼントのポインセチアが、腕の中で行き場を失くす。
なにも知らずに浮かれていた恥ずかしさが、私を襲う。
「あんたの顔なんか、もう見たくないって言ってた」
大好きな彼からのプレゼントは、人づてに聞かされた別れの言葉。
「二度とここには来るなってさ。てことで、あんたは用無しだから」
最高の夜になるはずだった、最悪のクリスマスの夜。
私は呆気なく捨てられた。
もう、誰も何も信じない。
高校入学と同時に〝姫〟になった私。
特別な扱い、特殊な環境。
彼や仲間から大事にされ守られ続けた日々は、その年のクリスマスの夜に、すべてが幻想だったと思い知らされた。