校門付近を監視し続けていると、ついに待ち人が来た。


生徒が行き交う生徒玄関に、着々と近づいてくる。


江藤先輩も気づいたようで、空気が張り詰めた。



想像していたよりもずっと、落ち着いている。


隣に、頼りになる仲間がいるからだろう。


脈は正常。呼吸も安定している。


うん、大丈夫だ。



「せっちゃん、おはよう」



生徒玄関にやって来たせっちゃんの前に立ち、行く道を塞ぐ。


今の私は、いとことしてではなく、あっちの世界で共に過ごした者として話している。


おそらく、せっちゃんもそのことを悟っているはずだ。



「ちょっと話いい?」



私がそう誘えば、せっちゃんはブツブツと何か呟きだした。


何を言っているの?


生徒玄関が騒がしくて、聞き取れない。



「……あぁ、いいぞ」



数秒後、せっちゃんは無愛想に答えた。