王家の殺害を目の当たりにしたウメおばあちゃんだけでなく、女王様の悪行を知らない人までもが、反対しているってことだよね?


この国は、どうなっているの?



「女王様は、表向きには定期的にこの国の情勢を調査していると公表していますが、本当は全くしておりません」



それは、つまり、



「女王様は、この町を、この国を、見捨ててしまったのです」



事実上の、女王としての責任放棄。



「現にこの町も、昔はアストラル・グラウンドにも負けないほどの活気で満ち溢れていましたし、この町の近くにある大地も道も整備されていて、食料も水も、十分すぎるほどあり、我ら住民も毎日幸せに暮らしていました」



ウメおばあちゃんは、昔を思い出すように瞼を閉じる。


うっすらと開いていくウメおばあちゃんの目に、光は存在しなかった。



「ですが、イービル様が即位されて以来、このように貧しくなってしまったのです」



徐々に変わり果てていった町の姿に、誰もが辛い思いを噛みしめただろう。


そして、その辛さは、当然のように女王様へと向けられた。



そういえば……。


フロンティア・シティに着いてすぐのところにあった噴水と、やせ細った町の住人達が、脳裏を過ぎった。



「女王様は、あなた様……オーロラ様を殺すことだけに興味を示されてしまったのでしょう」



女王様は、自分の国を見限っておきながら、権力だけは傲慢に振るっている。


きっと女王様は、国全体は自分のものだと、国の民達は自分の道具も同然だとしか、思っていないのだろう。