多くの人を殺した女王様こそ、極悪人じゃない。


罪人がこの国の頂点に君臨している現実が、恐ろしくてたまらない。



「最近風の噂で、アンジェラス様の死と、イービル様によってオーロラ様が指名手配されたことを知りました」



淹れてくれたお茶は、とうに冷めてしまっていた。



「ようやく見つけたアンジェラス様が亡くなっていたことと、娘がいたことに、イービル様は驚き、憎ましさを感じたのでしょう」



憎ましいのは、お母さんを自分の手で殺したかったから?


女王様の恨みが、お母さんから私へ移ったってこと?



私には、罪はないの?


極悪人というのも、罪人というのも、嘘?


ただただ、私を殺したくて、生きていることを否定したくて、国の民達を騙しているの?


……そんなの、理不尽すぎる。


求めていた真実が、こんなにも残酷だったなんて、知らなかった。



「……本当に、」



ウメおばあちゃんのか細い声が、私の涙腺を緩める。



「本当に、生きていてくださってよかったです」