口無しは、ふるり、と身を震わせた。


ふるり。

ふるりふるり。



白い花弁がヒラリと宙に舞う。



夜風が吹き、それをすくい上げた。


先行く蝶に、芳(かぐわ)しい風が追いつき、優しく包み込む。





蝶の眼から、小さな小さな雫が一つ、溢(あふ)れ出た。