羽があれば、 共に行くこともできたのに。 言葉を紡ぐことができれば、 共に語ることもできたのに。 あぁ、いかないで。 どうか一緒に連れて行って。 あなたと共に、過ごしたい。 こんなにも求めてしまう。 こんなにも焦がれていた。 こんなにも、こんなにも愛していた。 蝶は、最後に優しく微笑み、ありがとう、と言ってから、 名残惜しそうに飛び立ち、 宵闇のなかを舞っていった。