……今現在、『高校生ルーム8』にユキさんは居ない。

入り浸っているのは、サクラ(わたし)、フジヤマ、ユージ、そしてYUKI。

YUKIとユキさんは別人。


だから……『ずっと』じゃない。

ユキさんはもう『高校生ルーム8』には居ないんだ。


……けどフジヤマは、ずっとユキさんを待ち続けていた……?



「……クソメガネが演じてた『女子大生のYUKI』は、俺の知ってるユキと似てたんだ。 言葉の感じとか、笑いのツボとか……ほんともう、全部そっくりなんだよ。 だから会って話してみたいって思ったんだ」

「……じゃあ、オフ会しようって言ったのは……」

「うん、YUKI目当て。 もちろん、サクラとユージにも会いたかったよ? でも1番会いたかったのはYUKI。 で、会ってみたら残念な結果だった、というわけ」



……そうだったんだ。

フジヤマは、ずっとユキさんのことを想っていたんだ。

今でもずっと、想っているんだ……。



「……ユキは俺と同い年って言ってたから、今は23…か。 ほんと馬鹿だな、俺。 雪村は『二十歳の女子大生』って言ってたのに、ずっと二人を重ねて見てた。 雪村とユキは別人なのにな」



青信号に変わり、車が再び動き出す。

前を見ながら微笑んだフジヤマは、ただただ寂しそうな顔だった。