「まっ、アイツが写真をばら蒔くことはないと信じとこうか。 あ、ユージもそろそろ電車の時間だっけ?」

「うん、俺ももう行くよ」



ユージが乗る電車の発車時間まで、あと10分くらい。

ホームに向かう時間を考えると、そろそろお別れしなくちゃいけない。



「じゃあサクラ、またね」

「……うん、またっ」



ニコッと笑ったユージが、私の頭にポンッと手を置いた。

……すぐにその手は離れたけどね。



「フジヤマも元気でね」

「おう、またなー」



ひらひらと手を振るフジヤマに、ユージも笑って手を振り返す。

そしてそのあと、ユージは再び私を見た。



「あとでメールしていい?」

「……うんっ!!」

「よかった、色々話したいって思ってたんだ」



そう言って、ユージは嬉しそうに笑った。

……わぁ。

リアルでの対面は終わったけど、でも、またメールしていいんだ……。


チャットで会うだけじゃなくて、メールでもっともっとユージと話せるんだっ……。



「ユージちゃん、俺にはぁ?」

「キモいからヤダ」

「ちょ、キモい言うなってー。 お前が送ってこなくても俺は送るからなっ」


「ふふっ……わかってるよ、ちゃんと送る。 もちろん、YUKIにもね」

「おう、当然だっ」

「じゃ、本当にそろそろ行くね」


「まったなー」



もう一度手を振ったあと、ユージはゆっくりと歩き出した。



「……絶対メールしてねっ。 私もメールするっ」



私のその言葉にユージは振り返り、ニコッと笑ってVサイン。

言葉はなかったけど、そのVサインだけで十分だった。

それだけで、私の心はとてもとても満たされた。