『アイツは18歳高校3年生で、6年前の俺とユキのやり取りを見ていた。 っつーのは間違いないな?』
「うん、その通りっ」
『じゃあ、『オメデトウ』は要らない、ってどういうこと? アイツ、自分の誕生日を祝わねぇのか?』
聞かれるだろうと思っていたその言葉に、私は小さく「うん」と返した。
そして、YUKIと会って話した日のことを思い出しながら、言葉を続けていく。
「7年前の誕生日に、YUKIのお父さんが階段から落ちて大怪我したんだって。 そして次の年には、別の家族が血を吐いて緊急入院したって言ってたよ」
『マジか。 2年連続で災難だったな』
「うん、だからYUKIは『次の年も何か起きるかも』って考えて……それで次の年からは誕生日を祝わないって決めたみたい」
『……なるほどね。 7年前は父親が大怪我して、6年前は別の家族が緊急入院…か……』
フジヤマはそう言ったきり黙ってしまった。
何か、考え事をしてるみたい。
「フジヤマ? どうかした?」
『……ん? あぁいや、YUKIの…雪村の誕生日を聞いてさ、6年前のこと思い出してたんだ。 俺の知ってるユキが居なくなった日って、17日だったなと思ってさ』
「そ、そうなのっ……!?」
『うん、8月16日に『今日って女子大生の日なんだってよー』って二人で喋ったんだ。 で、その翌日にユキは消えた。 『昨日あんなに盛り上がってたのに、今日はどうしたんだろう?』って覚えてるもん。 ……だからさ、雪村の話を聞いて ふと思ったことがあるんだ』
「え?」