きっとYUKIは『急にメール出来なくなってビックリしたねー』なんて言いながらやって来て、『メアド交換のついでに2チャットでエッチな話でもする?(笑)』って言って笑うはず。
大丈夫。
待っていれば、次は ちゃんとYUKIに会える。
……と、そう思っていたんだけど……。
『……もしかしたらもう、YUKIには会えないかもしれない』
「え……?」
……ユージの沈んだ声を聞いて、不安が一気に全身を包んでいく。
「それって、どういう意味……?」
もうYUKIには会えない?
どうして?
いつもと同じように『高校生ルーム8』で待っていれば、会えるよね……?
『……なんか、リアルの方でゴタゴタがあったっぽくてさ、しばらくチャットから離れるらしい。 それに、もしかしたらそのまま辞めるかも……ってことも書いてあったんだ』
「……う、そ……」
YUKIが、チャットから離れる……。
それに、そのまま辞めてしまうかもしれないなんて……。
「いつ戻ってくるかは書いてなかったの……?」
『しばらくの間、とだけ。 かなり急いでたみたいで、すぐ落ちてたよ。 ……今から『高校生ルーム8』を見てくる?』
「……うん。 ごめん、2チャットの方 落ちるね」
『わかった。 えっと、じゃあ……電話、そろそろ切るよ』
「ん……また、チャットでね」
『うん、またチャットで』
短く挨拶を交わしたあと、電話を切る。
……その後、2チャットを離れて『高校生ルーム8』に戻った私は、そこに残されたYUKIのログを静かに見つめた。
それは『女子大生のYUKI』ではなく、『男子高校生のYUKI』が残した言葉。
ネカマする余裕すらない、リアルのYUKIの言葉が綴られていた。