チャットならきっと何か上手く言えたと思う。

冗談混じりで『w』を使ったりしたと思う。


でも言えなかった。

……だってユージの『好き』って言葉は、冗談なんかじゃないから。

漫画みたいなセリフだって、想いは本物だから……。



「……ごめんね……」



泣きそうな声で絞り出したのは、謝罪の言葉。

それ以外に言葉が見つからない……。






『サクラ』



ふわり、優しい声が耳に届く。



『俺も、ごめんね』



……優しいのに寂しそうな声。

そのあとすぐに、ユージは長く長く息を吐き出した。




『電話、そろそろ切るね。 なんか、このまま喋ってるとお互いの気持ちがかなり下の方まで落ちそうだから。
ていうか、その原因を作ったのは俺だね。 ほんとごめん』

「……ううん、私が……」

『違う、俺が悪いんだよ。 ……って、あぁもう、きりがないね。 はい、今から謝るの禁止っ。 次に謝ったら、会った時にキスしてもらうよ?』


「えっ……!?」

『ちなみに俺は、わざと謝ってでもキスしたいけどね。 ……って恥ずかしいセリフを言ったところで退散するっ。 チャット戻るからサクラも来てね。 じゃあまたっ』

「あ、ちょ、ユージっ……」



……切れちゃった。