ユージの声は、優しくてあったかい。

落ち着いたその声を聞いていると、とても穏やかな気持ちになれる。

今こうやって耳元で声を聞いてたら、余計にそう思うんだ。



『……えっと、なんか…ありがと』



そう言ったユージは多分、照れたように笑ってる。


……ほら、その声がもう最高にいい。

だから私、もっともっと聞いていたいって思うんだ。

これはあれだね、『耳が幸せ』って表現は、全然変じゃないね。

心地いいを通り越して、本当に本当に幸せだ。



「ねぇユージ。 私 今、耳が幸せだよ」

『あれ? さっきは変な言い方だって言ってたのに?』

「ごめん、さっきはよくわかんなかったんだけど……でも今はわかるんだ。 だからさっ、なんか色々喋ってよっ」


『ふふっ……わかった』



ゴホン。と、わざとらしく咳払いをしたあと、ユージは言う。



『サクラへ』



耳元で囁かれた声。

ドキッ…と心臓が鳴るのを感じた直後、更にユージの言葉が続けられた。






『俺、サクラが好きだよ』