「きゅ、急にどうしたのっ……!?」

『電話ならボーッとすることもないな、と思ってね』

「うっ……さっきはほんと、ごめんなさい……」


『あはは、ごめん冗談だから。 本当はね、サクラの声が聞きたいって思ったから電話したんだ』



……私の声が聞きたい……。

そう言ったユージは、電話の向こうでクスクスと笑っているみたい。



『サクラの声を聞いてると、耳が幸せなんだよね』

「え、耳が幸せ…って、なんか変な言い方じゃない?」

『そうかな? んーっと、あれだよ、聞いてて心地いいってこと』


「あ、なるほど……って、私の声が心地いい……!? それ絶対おかしいよっ」

『えー? おかしくないだろー』



いやいやいや、普通にあり得ないからっ。


だって私、何かを喋ってる時は基本キョドってるもん。

あぁでも、ユージたちと喋ってる時はいくらかはマシかも……?


でもでもっ、全然心地いい感じじゃないよっ。

逆に耳障りって言われそうな声だって自分で思うしっ。



「あれだよっ、心地いい声っていうのはユージの声のことだよっ」

『え、俺?』

「うんっ。 ユージの声を聞いてると、すっごく安心出来るよ? これ絶対に心地いいってことだよっ」