「はい、時刻表。 田舎って困るよねー、1本逃したら平気で1時間待ちだもん」



そんなことを言いながら、YUKIに携帯を渡す。

それを受け取ったYUKIは、少し考えるそぶりを見せたあと私へと視線を向けた。



「次の電車は16時20分だから、そろそろ駅に行っといた方がいいね」

「……えっ、YUKIを見送ってから帰るつもりだから、私は17時34分のに乗るよ?」

「それは俺のセリフ。 俺がサクラを見送るよ」


「えー……でも、そうするともう30分でお別れだよ……?」

「うん。 だけど、仕方のないことだから」



……もっと一緒に居たいのにな……。

ほんっとに、田舎でイヤになるよ……。



「……今度、また絶対に会おうね?」

「もちろん」

「ぜーったいに絶対だよっ?」


「うん」



優しい顔のYUKIが、私の頭をポンと静かに叩いた。



「クリスマスの予定、ちゃんと空けとくよ」

「……でも、その時に恋人が居たら、絶対に恋人優先だよ?」

「うん、サクラもね」



そう言い合ったあと、私たちは雑貨屋さんをあとにした。

人混みの中では、相変わらず手を繋いで歩いている。

そうするのが当たり前のことかのように、私たちは自然と手を繋ぎ、並んで駅へと向かっていた。


そして、あっという間に駅に到着。

トイレに行き、そのあと切符を買い、飲み物を買って……と忙しなく動いていたら、電車が出発する時間まであと7分となっていた。